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新たな蚕室消毒剤散布 低コストで保存しやすい

2024.09.03

新たな蚕室消毒剤散布 低コストで保存しやすい

 JAおやま、栃木県、小山市、下野市で構成する県小山地区養蚕産地育成協議会は8月20日、国内初となる新たな蚕室消毒剤の散布実証試験を実施しました。水100リットルに消石灰(アルカリ70%)500グラムと塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)を0.2%で加え、混合した液を蚕室などの飼育施設内に散布しました。今回の実証試験で作柄が良好であれば普及に移します。

 散布試験は同市の養蚕農家で開き、JAおやま養蚕部会や関係者ら17人が参加。新たな消毒剤の作り方や散布方法を学びました。

 養蚕業は、従事者の高齢化とともに年々減少傾向であり、効率的な低コスト養蚕経営と安定した生産基盤の確保に取り組む必要があります。そこで、大日本蚕糸会蚕糸科学技術研究所(茨城県阿見町)は、蚕に甚大な被害を及ぼす膿病の原因ウィルスや細菌・糸状菌などにも有効な、低コストで保存もしやすい消毒剤として、今まで使用していたDDACを加えるだけの新たな混合消毒剤を実用化しました。

 核多角体病ウィルスが原因で発生する膿病は、繭の生産で深刻な被害を引き起こします。このウィルスに感染した蚕は、病気が進むにつれて白い体液を出しながら死亡します。病気の蚕が桑葉を徘徊(はいかい)することで健康な蚕にも病気がまん延し、著しい減産につながります。

 実証実験では、同研究所の野澤瑞佳主任研究員が、発泡ノズルを装着した動力噴霧機を使い、約400平方メートルの蚕室内(床と側面)に200リットルの混合液を20分かけて実演散布しました。

 生産者からは「消毒する際の順番はどのようにするのが有効か」「蚕具類も消毒した方がよいのか」など多くの質問が寄せられました。